Hair Trend News
HAIR BY AOKI with SALONE DI LUCA & wephair
2017/1/12 @Stazione Leopolda (Florence/Italy) / PITTI IMMAGINE UOMO
sulvam
SHOW INSPIRATION
About Maison
http://www.sulvam.com/
ラテン語で即興演奏を意味する「Salvum」からとったブランド名は、ファッションに携わる全てのプロフェッショナルたちが、バンドのジャムセッションのようにそれぞれのインスピレーションを具現化していく……そんなプロセスを表している。
デザイナー:藤田 哲平氏 インタビュー
◆
私にとって、フィレンツェで開催されるピッティウオモのようなユニークな場所で自身のコレクションショーを発表できることはこの上ない名誉です。また、私の師匠であるYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)氏が以前コレクションを発表したこの地でランウェイをおこなうことに運命を感じていますし、本当に興奮しています。
今回、チャンスをいただいたこの舞台で絶対にやりたかったのは「東京ではやれないことをやろう!」ということ。いつもよりモード寄りで、いつもより大人っぽく、いつもより色気のある大人の余裕のある遊び心を表現しました。着る人によって、着る場所によって見え方や印象が変わる洋服を、フィレンツェだからこそ表現できるものとして昇華し、世界中の方にsulvamの服は「着ている人が心地いい」と感じていただけることを願っています。
HAIR STYLING /// AOKI
Hair Keyword「気品、大人の色気、光沢、遊び心」
いつもよりモード寄りに
気品、色気といった今までのsulvamではあがってこなかったキーワードが今回のテーマにはあり、せっかくフィレンツェで行うショーでもあるので、この地でやる意味をさまざまな角度から演出していきました。ヘアはいつもよりモードに寄せるイメージで、パサつき、ドライよりはツヤ感が求められました。衣装に量感のあるシルク生地を採用していたので、そこにつながるよう重さが感じられるヘアでありながら、早いスピードで歩いてもヘアラインが割れてこないツヤ感や気品がポイントとなりました。
大人の余裕があるからこそできる遊び=色気
衣装の演出上、靴はVANSを使用することになっていたのですが、この靴紐を長くする部分に「遊び」という感性を盛り込み、大人の着こなしに崩しの表現を取り入れたり、ヘアのツヤ感で色気や気品を表現したり、余裕のあるかっこいい大人が着るイメージを念頭に置きました。
Tips(ポイント)
レディース像は3タイプ
<上品な子>・<きれいな子>・<デザイン>の3タイプにモデル像を分ける。
ちゃんと作りこむというのが今回のテーマにあったので、クセがある子も一回フラットにブローしてきれいなベースをつくり、そこから本人が元々持っている髪質や動きなどをアイロンで自然に見えるように作り上げていく。いつも以上に時間をかけてベースづくりをおこない、やわらかさと自然さがでるようクリエイション。
■上品な子
本当にきれいに大人っぽくつくる。
ウェーブよりはストレート。分け目はセンター。洋服もシンメトリーなので。誰が見てもきれいに見えるように。テクニアート フィックスデザインを根元につけて髪質を固くし、髪質コントロール。“重さ”や“強さ”というキーワードを念頭に、毛先まで薄づけでロレアル プロフェッショナル オムのグロスワックスとセリエ エクスパート ルミノコントラスト パーフェクターを全体的に塗布。オイルでベタッとしたコームラインが出ないように気をつける。歩くスピードも速かったので、ふわっとならず、ちゃんと芯がある強い女性にみられるよう意識したスタイル。
■きれいな子
多少ニュアンスとしての髪の動きがあるようウェーブを出す。ベースの作り方は「上品な子」と同じで、まずは全体的にきれいにブローをしてからアイロンをかけて、髪に対して本当にきれいなベースを作っていく。ニュアンスや雰囲気を意識して意図的に巻いたようにみせるのではなく、ナチュラルにみえるよう考えながら構築していったスタイル。上品な人より質量感を出し重く見せたかったので、スタイリング剤は多めに塗布。
■デザイン
もっと潤いがほしい、顔周りにデザイがほしい、濡れたようなツヤ、ネットリとした印象、濡らしたいけど毛先が割れたくない、毛束感は不要というリクエストから、試行錯誤したスタイル。質量はほしいけど、あくまでもシルクみたいな柔らかさも求められたため、モデルが持つクセを全部伸ばしてベースを整えてから巻いてニュアンスを出し、前髪でデザイン性を持たせたスタイル。
テクニアート フィックス デザイン
<ローションミスト>
ロレアル プロフェッショナル
オム グロスワックス
<ワックス>
セリエ エクスパート
ルミノコントラスト パーフェクター
<洗い流さないヘアトリートメント>
Main hair director : AOKIさん
これまでのショーは、日本人モデルを起用していたのですが、今回はフィレンツェということもありsulvam初の外国人モデルを起用。せっかくフィレンツェにきたので、この地でしかできないことをやるということを念頭にいつも以上にモードに寄せてスタイルをクリエイションしました。
また、今までのsulvamのショーではまずモデル自身が持っている個性を活かしながらヘアクリエイションしてきたのですが、今回は徹底的にベースづくりをおこない、そこから自然にみえるようにクセ付したり、フォルムを創っていくという今までとまったく違う作り方で挑戦したショーとなりました。
モデル28名中、レディース:8名、メンズ:20名で構成されていたのですが、モデルは裏テーマが各々あり、各モデルにキャラ設定をおこない、この服を着る人はこういう生活をしているだろう、だからヘアはこんな感じがいいのではないか?という細かな人物像をどんどん作っていきました。あの広い会場で、颯爽と歩くモデル一人一人にこうしたキャラ設定の元、衣装やメイク、ヘアが決まってクリエイションされているなんて誰にも気づかれないかもしれませんが、それがあったからこそ、着る人に似合うかっこいいスタイルが確立できたんだな、と思っています。楽しかったしやりきった感もありますが、課題もたくさん見つかり、今度はもっとこうしたい!という次への意欲につながる自分にとってターニングポイントになるショーとなりました。
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船谷侑平さん
今回の話をいただいた時は、1人で営業している自分のお店を締めていかないといけないため、行こうか行くまいか凄く迷いました。また今まで海外で勤務していたため、日本人のショーチームで仕事をした事がなかったので、大丈夫かな?という心配がありました。でも、いつも応援してくれている親、お客様の為に「行こう」と決心しました!
今回のショーは正直言っていろんな意味で一番難しかったです。自分自身がディレクターとしてショーを担当する時は、気楽に行けるのですが、今回は人のショーという事もあり、結構パニックな場面もありました。ただ青木さんの情熱とこだわりはやっぱりすごい!!
今回のショーは青木さんだから、あそこまでかっこいいショーになったんだなと確信してます。
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野田ひろみさん
古い駅舎の中で幻想的なショーを行ったSulvam。お客様もプレスも大盛況、大成功だったと思います。どこにも属さない服たちにヘアメイクを合わせていく難しさと楽しさ。チームで作っていく達成感。今回、私はメインではなく大活躍中の青木氏のアシストでしたが現場の緊張感やクリエイティブな思考など、何もかもが学びでした。全ての人に感謝です。